一昨年のことだっただろうか、東京都知事が、年末年始は出かけずにステイホームしてくださいと呼びかけた。するとどうなったか。ステイホームをした家庭の多くで、家族の集団感染が起こってしまったのである。この明らかな失策(失言?)を追及した人は、いたのだろうか。第八波の流行が拡大しているこの年末と、年始にかけて、行動は慎重にしたい。
それはともかく、ザ・ロング・グッド・バイである。1953(昭和28)年にアメリカの作家レイモンド・チャンドラーによって著わされた探偵小説である。翌年のアメリカ探偵作家クラブの最優秀長篇賞を受けている。遅れて日本でも翻訳された。現在容易に入手できるのは清水俊二訳『長いお別れ』、村上春樹訳『ロング・グッドバイ』(以上ハヤカワ・ミステリ文庫刊)、田口俊樹訳『長い別れ』(創元推理文庫刊)である。
The Long Goodbyeをベースにした映画も製作された。エリオット・グールド主演、ロバート・アルトマン監督による『ロング・グッドバイ』(原題もThe Long Goodbye)である。『長いお別れ』を先に読んでいた自分は、異なるイメージに少々面食らったのだが、これはこれで面白い!(ちなみに、結末も異なる)
小説のThe Long Goodbyeでは、ギムレット(ジンとライムジュースのカクテル。比率は3:1ぐらいで、シェイクする)が重要な舞台装置であるのに対して、映画にはまったく出てこない。
"I suppose it's a bit too early for a gimlet," he said. というのが、ギムレットを有名にした一節である(Ballantine Books 1981年刊より)。
清水俊二訳:「ギムレットにはまだ早すぎるね」と彼はいった。
村上春樹訳:「ギムレットを飲むには少し早すぎるね」と彼はいった。
田口俊樹訳:「ギムレットにはまだ早すぎるよね」と彼はいった。
同じようなもんですが、清水訳がベスト。
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