2021/03/16

宇宙【そら】へ


宇宙を「そら」と読ませる小説は、他にもある。

John Scalzi[ジョン・スコルジー]の『老人と宇宙(そら)』も、その一つである。

原題はOld Man's War、内田昌之訳でハヤカワ文庫SFから出ている。

邦題が、ヘミングウェイの『老人と海』(原題:The Old Man And The Sea)をもじったものであるのは明らかだ。 


『宇宙へ』は、Mary Robinette Kowal[メアリ・ロビネット・コワル]の長編SFで、2020年の夏に酒井昭伸の邦訳がハヤカワ文庫SFから出ている。

そのことが「S-Fマガジン」2020年10月号で紹介されている。






小生は、まず『宇宙へ』を読み、感動して、巻末の解説を読み、後日譚の『火星のレディ・アストロノート』へと導かれたわけである。
前述のように、この二つの物語の間には30年のラグがあり、作者コワルは、その間を埋める物語も書き継いでいるようである。

レディ・アストロノートという呼称について、宇宙飛行士は男であって当然という考え方を基にしている、と『宇宙へ』の作中主人公のエルマ・ヨークは批判的に言うのである。

 


2021/03/14

火星の女性宇宙飛行士












借りてきた「S-Fマガジン」2010年の10月号。

ご覧のようにSとFの間に記号が入っているのだが、・(中黒)でもなく-(ハイフン)でもなく、右向きの小さい黒三角のようである。

(入力と画面表示が難しいので、ハイフンで代用します)

早川書房発行の「S-Fマガジン」「ミステリマガジン」は、それぞれ月刊だったのが隔月刊になり、前者は偶数月、後者は奇数月に出るようになった。

両者を合わせて、やっと年刊12冊なのである。

SFもミステリも肩身が狭くなってきているのだろうか。

このことである(池波正太郎調)。


この雑誌を借りる目的だった短編『火星のレディ・アストロノート』を読んだ。

作者はMary Robinette Kowal[メアリ・ロビネット・コワル]、原題はThe Lady Astronaut Of Mars、翻訳は酒井昭伸。

コワルは、この作品を先に出してから、長編のThe Calculating Stars(『宇宙【そら】へ』酒井昭伸訳/ハヤカワ文庫SF)を書いた。

『宇宙【そら】へ』では『火星のレディ・アストロノート』から30年を遡った時代(1950年代)が描かれている。

つまり『火星のレディ…』は1980年代の話であり、主人公たち地球生まれの人々が、すでに火星で暮らしているのである。


「S-Fマガジン」2010年10月号は、ハヤカワ文庫SFの創刊50周年を記念する号で、日本のSF作家や海外SFの翻訳家たちが、エッセイを寄せている。

大森望も、その一人である。

彼は記念エッセイの中で、自訳のベストとしてコニー・ウィリスの『ドゥームズデイ・ブック』を挙げている。

黒死病[ペスト]が蔓延している中世の英国に時間旅行した学生の悲惨を描いた作品である。


『火星のレディ・アストロノート』『ドゥームズデイ・ブック』ともに、普通ではない状況設定の中で、普通らしく語られる話なので、いわゆるハードSFとは違って、読みやすい。


 

2021/03/13

S-Fマガジンを求めて

 

久しぶりだけれど、大したことを書くでもなく、よしなしごとを書きまする。


鼻の奥から喉にかけてが不調なのだが、花粉アレルギーのせいだと思われる。

突然発症してから20年、これでもだいぶんましになったのである。

毎日のビタミンCとヨーグルト摂取が効いたようです。


午後、運送屋がレーザディスクを引き取りに来てくれた。

死蔵していた28タイトルを業者に買い取ってもらうのである。

『昼下がりの情事』『おしゃれ泥棒』『華麗なる賭け』など、大好きな洋画中心のコレクションだが、LDプレイヤーがないので、肥やしでしかない。

段ボールひと箱に詰め込んだら、13.1キログラムの重荷になった。


運送屋を帰して、外出。

歩いて隣の市の中央図書館まで行く。

しばらく行かない間に改装されていて、戸惑う。

館員に「月刊の雑誌の棚はどこですか」と尋ねてみる。

何という雑誌かを言うのは気恥ずかしいのだが……

「何という雑誌を、お探しですか」

当然、そう来るわ。

「SMマガ…」ちがうって「エスエフマガジンなんですが」

すぐに案内してもらえた。


いつも利用している、居住地の図書館には『S-Fマガジン(←これが正式タイトルで、SとFの間に記号が入っている)』が置いていないので、ここまで来たのである。

※ちなみに、前は月刊だったのが隔月刊になった

読みたかったのは2020年の10月号に掲載された、メアリ・ロビネット・コワルの短編「火星のレディ・アストロノート」(酒井昭伸訳)。

広域貸出券を使って、借り出す。

広域貸出のシステムを利用すれば、大阪・北摂の7市3町の図書館で本が借りられるのだが、それぞれに貸出券が必要となるので、すべてを利用するにはカードを10枚、持たなければならない。

また、今回利用した自動貸し出しシステムが、我が市のものとは大きく異なっていたことから、他市町でも同様の差異があることが予想される。


所変われば、シスも変わる。

隣市の図書館に本を返却すると、ウイルス対策として72時間は再貸し出ししない、ということであった。

我が市では、どうだったか……?


長居をせず、帰る。

途中、スーパーマーケットで買い物。

八朔があったので即買い。

他では見かけなくなった、ふりかけ「瀬戸風味」(三島食品)も、即まとめ買い。

これは嬉しい発見でした。

ついでに、アップルパイも買う。

レジのおばちゃんの声は、ビニルのカーテンに遮られて、まったく聴こえない。














帰宅後、アップルパイを肴にティタイム。