2021/03/14

火星の女性宇宙飛行士












借りてきた「S-Fマガジン」2010年の10月号。

ご覧のようにSとFの間に記号が入っているのだが、・(中黒)でもなく-(ハイフン)でもなく、右向きの小さい黒三角のようである。

(入力と画面表示が難しいので、ハイフンで代用します)

早川書房発行の「S-Fマガジン」「ミステリマガジン」は、それぞれ月刊だったのが隔月刊になり、前者は偶数月、後者は奇数月に出るようになった。

両者を合わせて、やっと年刊12冊なのである。

SFもミステリも肩身が狭くなってきているのだろうか。

このことである(池波正太郎調)。


この雑誌を借りる目的だった短編『火星のレディ・アストロノート』を読んだ。

作者はMary Robinette Kowal[メアリ・ロビネット・コワル]、原題はThe Lady Astronaut Of Mars、翻訳は酒井昭伸。

コワルは、この作品を先に出してから、長編のThe Calculating Stars(『宇宙【そら】へ』酒井昭伸訳/ハヤカワ文庫SF)を書いた。

『宇宙【そら】へ』では『火星のレディ・アストロノート』から30年を遡った時代(1950年代)が描かれている。

つまり『火星のレディ…』は1980年代の話であり、主人公たち地球生まれの人々が、すでに火星で暮らしているのである。


「S-Fマガジン」2010年10月号は、ハヤカワ文庫SFの創刊50周年を記念する号で、日本のSF作家や海外SFの翻訳家たちが、エッセイを寄せている。

大森望も、その一人である。

彼は記念エッセイの中で、自訳のベストとしてコニー・ウィリスの『ドゥームズデイ・ブック』を挙げている。

黒死病[ペスト]が蔓延している中世の英国に時間旅行した学生の悲惨を描いた作品である。


『火星のレディ・アストロノート』『ドゥームズデイ・ブック』ともに、普通ではない状況設定の中で、普通らしく語られる話なので、いわゆるハードSFとは違って、読みやすい。


 

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