2017/04/18

文庫解説目録でネタバレ-->


ネット上の評判や新聞広告に惹かれて、カスをつかんでしまうことが多くなった。
読む本のことである。
自分が読みたいのは、翻訳ミステリで本格でないもの、という現在では非常に狭くなってしまっているゾーンである。

翻訳ものは値段が高い。
それは、翻訳権料がかさむからで、国内の作家作品より経費がかかるのは当然である。
高ければ売れない、売れない本は作りたくない、というのが出版社の心情である。

それでも、海外現地で好評を得た作品が、それなら日本でも売れるだろうという目論見で翻訳出版されることは、ある。
出版社は販売促進の一策として、内容見本やゲラや刷り上がりを書評家や文芸評論家と呼ばれる人たちに配って、好意的な評を書いてもらおうとする。
書評家や評論家は好意的な評を書くのだろうが、そこには忖度がはたらいている場合もあるに違いない。

いきなり結論に飛ぶと、書評などあてにならない、ということである。
SFの大家が絶賛した作品を、試し読みもせず上下巻いっぺんに買って読んだけれど、まったくのカスだった。
ドイツでは必ずベストセラーになるという作家のミステリも、半分読んだところでキレて、読むのをやめてしまった。
これらはいずれも個人的な感想なので、別の人が読めば、違った感想を持つかもしれない。

要は、書店に行って自分で吟味せよ、ということである。
帯の惹句を読んでみる、目次があればそれも読んでみる、(ネタバレに注意して)巻末の解説を読んでみる、冒頭を読んでみる。
それで面白そうなら買って読む。

前置きが長くなってしまった。
カスをつかんでしまわないために、評価が定まった作家・作品を読むという手がある。
すでに読んだことのある作品、または好きな作家の作品で未読のもの。
ディック・フランシス『興奮』は何度も読んでいる。
だから筋は知っているが、何度読んでも面白い。

今回は、パトリシア・コーンウェルの『検屍官』シリーズの中から『変死体』を選んだ。
このシリーズは現在までにすでに20以上の作品が発表されているが、18作目以降を読んでいなかった。
これを選ぶにあたっては読書計画室のお世話になった。
我が家の読書計画室、すなわちセッチンの小さな棚には数社分の文庫解説目録が備え付けてあり、用を足す間に閲覧できるようになっている。




















5年前の本なので、図書館で借りた。
上巻と下巻が別べつの館に収蔵されているので、取り寄せなければならない。
俺なら上下巻いっぺんに借りたいけどなあ。
上巻の方が傷みが激しいのは、途中で諦めて、下巻を読まない人がいるからだろう。
下巻には、なんと古本屋の値札をはがした跡が残っていた。

こういう本には登場人物紹介のページがついている。
そこを読んで、いきなり犯人が判ってしまった。
というのも、その名前が、文庫解説目録の『検屍官』シリーズの次作の紹介の中に書かれていたからである。
面白味半減、ではないか。
いや全減かも知れぬ。

出版社は、こういう些細なことにも配慮をしてほしいね。

 

2017/04/15

吉田秋生『海街diary』-->


少女コミックスの『海街diary』の新巻が出たことを、Twitter上で知った。
そういう小ネタをつぶやいてくれる御仁がいてくれて、ありがたい。
下記は、以前『本の雑誌』に投稿したものの採用されなかった拙稿である。

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△偏固ジャーナル忘月。
『海街diary』にハマってしまった。
オバカン男が少女コミックスに、である。
といっても昔、吉田秋生の『BANANA FISH』を一書懸命読んでいたので、まあ当然だ。

きっかけは、ある出版営業マンのウェブログだが、そこに紹介されていた『ラヴァーズ・キス』をまず図書館で借りて読んだ。
ここまでは『BANANA…』の流れをくんでいるといってもいいのだが、そこから『海街…』へは、ジョウントするほどの違いがあった。

『海街…』は第一巻の電書版をAmazonから入手した。
無料だった。
漫画を読むのに電子書籍のスタイルは都合がいい。
iPad miniをタテにして単ページ表示にし、片手だけでページ送りができる。

売り手の思うツボにはまって、続巻を買うことになった。
Kindle版だけでなくDMMブックス版(読むアプリが異なる)も買って、七巻揃えた。

途中で『海街…』がすでに映画化されたことを知り、つまり七巻完結の物語をベースにして映画ができたのだと思い込んだ(二女役の長澤まさみと四女の広瀬すずはぴったりという感じだが、三女は元なでしこの荒川、長女は京野ことみで、って勝手にイメージしてます)。

七巻を読んで、物語が完結しないことに気づいた。
コミック誌『月刊フラワーズ』に不定期だが連載続行中だったのである。
ええっまたぶら下がるん?

(武田伴兵衛・崖の下のオーバー還暦・豊中市)
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つまり、第八巻が出たわけで、さっそくAmazonまで買いに行った。
紙の本ではなくて、Kindle版をダウンロードしようと思ったのだが、その方は4月28日まで配信されないということだった。
今日までぶら下がって待ったのだから、あともうちょっと頑張るべ。

 

2017/04/14

増量作戦-->


世に、痩せたいと思う人びとは余りに多く、ダイエットやのトクホ(特定保健用食品)やの、喧(かまびす)しい限り。
そもそもは、お前ら食い過ぎやねん!
たとえば、わが愚弟などは食べることしか楽しみがない、などという。
まるで、おのれに施餓鬼をしているかのようである。

かくいう小生は、食べても太らない体質である。
たぶん腸が弱いのだろう、度を超して食べるとすぐにお腹をこわす。
度を超す、といってもその量は大したことないのに、である。
まるでリミッタがついているかのように腸が反応して、肥えるどころか、ますます体重を減らす結果をまねいてしまう。

最近ますます体重が減ってきた。
標準体重(身長マイナス110)を10キログラム以上も下回って、もはや「危険水域」である。
少しは増やさねば、というわけで増量作戦である。

高タンパク・高カロリーの食品を摂ったらええんとちゃうの?
電脳上で調べてみると、あるサイトには高糖質・高脂質のものを食え、とあった。
そこに、具体的に例示された食品は……
・カレーライス(カツカレーは、なおよし)
・カツ丼
・ラーメン
・菓子パン
好きなものばかりであるが、そういえば、最近あまり食べていない。

というわけで、食料品買い出し。
・米(とにかくいっちゃん安いやつでOK)
・肉(アンガス・ビーフが安かったので買う。スコットランド産!)
・トンカツ(既製品)
・鶏卵
・袋ラーメン(インスタントのもの)
・菓子パン類(あんパン、アップルパイ、ラザニアを入れてフライにしたやつ)
・野菜(カレー用の玉ねぎ、人参、じゃがいも、缶詰のトマト)
などなど。

帰宅してすぐ、お茶休憩。
紅茶をいれて、あんパンとラザニアパンを食べる。
この時点でもう胸焼けが(笑)

休憩明けからカレー作り開始。
・玉ねぎとアンガス肉を小さく刻んで、順番に油炒め
・水とベイリーフを加えて煮る
・ブイヨンキューブ投入
・人参を刻んで投入
・じゃがいもの皮をむいて投入(小さかったので、一個まるごと)
・トマト投入
本日の作業はここまで。
一晩寝かせる。

夕食は即席のソースカツ丼。
・二カップ分洗米して土鍋に投入
・水を加える(ビーカで計量!)
・30分おいて着火(ガステーブルコンロに「炊飯」モードがついている)
・炊きあがり後、15分蒸らし〜撹拌

安物の米でも、土鍋で炊くとおいしい!
・丼に飯を盛り、トンカツをのせる。
・フライパンで、溶き卵を焼く(冷蔵庫にあった麺つゆで味付け)
・丼にぶちまけて、ソースを垂らして完成。

お腹、こわれそう。

 

2017/04/13

「ほぼ新品」?-->


どこが「ほぼ新品」やねんっていう話。
坪内稔典『季語集』(岩波新書)を、Amazonで購入した。
中古品ながら、コンディションが「ほぼ新品」というふれこみだったので。
注文後、二三日して郵便受けに投函された。

茶封筒をあけると、一見して汚れの目立つ古本が現われた。
せめてプチプチで梱包すればいいものを、透明のビニル袋に入れてあった。
そのせいで、中で本が動いて、カバーの上縁が折れてしまっている。
本を開くと、角が折れているページもあるし。
おやおや、マーカーの線引きまでしてあるやん。

というわけで、読む気も失せてしまった。
ひと言ぐらいクレームをつけてやろう、とAmazonの評価サイトに書き込んだら、拒否された。
どうやら、ネガティブメッセージは受け付けないことにしているらしいぞ。

しょうがないから、Amazonに本を出品した業者に直接メッセージを送った。
商品に不都合があったから返品したいと送ったが、まったくレスポンスなし。
納品は速かったけど、クレーム対応はせえへんという姿勢やね、たぶん。

こういう場合、Amazonは「返品・返金保証」というシステムで対応してくれる。
最後の手段、というやつだ。
こやつを使うことにした。
クレームの内容は妥当であるか、が審査される。

審査はあっさり通って、メールで連絡が来た。
返金してくれるという。
納品された商品は、ユーザ側で処分してくれ、と来た。
なんともドライなやり方である。

処分してくれ、と言われても困るよ。
自分の性格上、こんな本でも捨てるのはつらい。
本当は送り返して、実物を見て反省してもらいたいのだけれど。

わが買い物に、「難あり」。

 

2017/04/06

ペナンブラ氏の24時間書店-->


四月になったばかりだというのに、もう2017年のベストと言える作品を読んでしまった。
『ペナンブラ氏の24時間書店』(ロビン・スローン著、東京創元社刊)である。

たぶんツイッターだったと思うのだけれど、話題にのぼっていたのを見て、読んでみる気になった。
最寄りの図書館のウェブサイトで検索すると、意外にも予約している人の数が少なかった。
しめしめ、まだあまり知られていないのか、と思って即予約ボタンをクリックした。

図書館からメイルで知らせが来て、借り出しに行った。
てっきり新刊と思っていたのに、手垢のついた本だった。
もう少しよく調べていればわかったことだが、SNSで話題になっていたのは、文庫化されたものが発売されたというニュースで、自分が手にしたのは、その元の単行本だったというわけだ。
予約の列が短かったのは当然だ。























単行本は2014年4月発行。
3年前には、その存在にまったく気づいていなかった。
こんなにおもろい本を、当時なぜスルーしてしまったのか……
それは、まあいい。
いま読めたんやから。

1980年代の後半に、印刷の仕事に手を染めていた人間には、懐かしい名前が登場する。
本文では「アルドゥス・マヌティウス」と表記されているが、当時われわれは「アルダス」として、その名を知っていた。

アルダスはコンピュータ用のソフトウェアアプリケーションを作っていた企業で、「PageMaker」というアプリケーションは、DTPソフトのさきがけである。
DTP(DeskTop Publication)という言葉自体、アルダスが作ったものである。
アルダス社の名前が、15世紀の出版印刷人であったアルドゥス・マヌティウスに由来することは、言うまでもない。

何百年も前に亡くなったアルドゥスやその協力者が、もの言わぬ「主役格」として、お話に登場してくるのだから、興味がわかないわけがない。
瞬間的ではあるが、村上春樹、kobo、という名前まで登場する。
本が好きな人、印刷に興味がある人、コンピュータに関わっている人が読んだら面白いと思えるだろう。