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ガンバ大阪の第一練習場(天然芝)。クラブハウスのすぐ隣にある |
ガンバ大阪のクラブハウスを訪ねた。
「遠慮なく来てください」
そう言われてその気になったものの、道は遠かった。
社長のスケジュールを管理している担当者に電話して「アポ」をとる。
すぐに会えると思っていたら、盆明けまで待たされることになった。
その間にチームはアウェイの豊田スタジアムで名古屋グランパスエイトに大勝。
録画で観戦したのだが、フィールド横で今野選手がインタビューしているその背景に、社長が満面の笑みで選手たちを迎える姿が映っていた。
そのことを教えると、社長が照れた。
名古屋戦の大勝がなければ、対談はもっと暗いものになっていたかもしれない。
おかげでナゴヤかに話が進む。
ビッグクラブの社長に対するは、たんに態度がビッグなおっさんである。
クラブを支援する側というスタンスなので、要望は言わないことにしていたが、日頃思っていることごとを口から出るにまかせて話した。
ほぼプライヴェイトな対談なので、写真および録音はなし。
クルヴァのサポーターとはうまくコミュニケーションがとれているようだ。
そういうことは他のクラブにはまずないという。
相手チームを誹謗中傷するような言葉とその表出についてはクレームをつけているらしい。
「ピンクの豚」などはいっそユーモラスで好ましいと思うのだが……
私が好きな「髑髏(どくろ)」のマークも規制しているらしい。
新スタジアムに移ったあかつきにはクルヴァも自覚自重するだろう、とは社長の楽観。
スタジアムの計画図面を見せてもらう。
観客席の最前列からタッチラインまで約7メートル。
両軍が座るベンチも観客席の中に組み込まれている。
オールド・トラフォードのようなスタイルだ。
つまり、ベンチをおおうものがない。
これに対して選手からは屋根をつけてほしいとの意見があったそうだ。
屋根は要らんでしょう、と言っておいた。
気になっていたのは芝の養生と、スタジアム全体の明るさだ。
フィールドレベルの通風は考慮されている。
観客席の真上をおおう屋根が日光をさえぎる部分が少しあるのが気になる。
観戦しながら食事ができるレストランではアルコールをサービスするのか否か。
スタジアムは全面禁煙にするのか否か……
クラブ内での議論はまだ進行中だ。
話の途中で事業本部の担当者を呼び入れる。
クラブの収入の大きな柱の一つであるグッズのことが話題となる。
ラインアップに買いたいものはない、と意見を言う。
サポーターとしての絶対にかなわない夢は、選手と同じユニフォームを身に着けてフィールドに降り立つことだが、現在のショップではパンツもストッキングも販売されておらず、コスチュームプレイすらできない。
また、大人向けのマーケティングをしていないので、ネクタイほどのアクセサリーもない。
そういうことを話した。
面倒くさいことを言うやつだと思われたにちがいない。
選手の話。
サポーター同士でも頻繁に話題にしているゴールキーパーのこと。
自分がチームを作る立場なら、GKにもっとも多くお金をかけたいところだ。
ガンバ大阪はそのかわりにブラジル人のGKコーチを招聘して強化策を講じた。
そのジェルソンすら、もっといいGKを獲ってくれと言っていたらしい。
クラブは、ある大物GKに何度もオファーを出した。
そのGKとは偏固ジャーナルでも言及したことのあるKだが、彼はガンバには来ない。
アンセム(チーム賛歌)の話。
「You'll Never Walk Alone」(リヴァプールFCやセルティック、FC東京が採用)のようなものが欲しい、と社長が以前言っていた。
その時に、オリジナルで作ってはだめですよ、と意見した。
サポーターの大多数に受け入れられる保証がないうえに、作家に頼んで作ってもらう歌にダメ出しはできない。
その後東日本大震災が起きて、賛歌づくりは頓挫した。
「You'll Never Walk Alone」はリヴァプールFCのファンのリクエストから生まれたエピソードを社長に教える。
万博記念競技場でもリクエストを募ったらどうか。
勝った時の凱歌、負けた時にチームを励ます歌を既存の曲の中から選ぶという案。
食べ物の話。
サポーターからの要望に応えて「美味G横丁」ができた。
(美味Gと書いてオイジイと読ませるのは無理がある、とは社長に言ってない)
パンを売っている屋台がほとんど無に等しい。
サンドイッチや調理パン、カットピザを売る店があったらいい、と提案してみた。
この他にもいろいろ話があって、対談は2時間を超えた。
話は尽きず、社長が外出する予定の時間が迫ってきたので、強制終了となった。
最後にクラブハウスの中を案内してもらってから練習場に立つ。
チームはオフなので、誰もいない。
次の土曜日から巻き返しが始まる。