2015/09/29

ARABIAの皿


映画『ジャッカル』の登場人物が巨大なティカップを使っているのを観て、欲しくなった。
それは10年以上も前のことである。
フィンランドの陶器ブランド「ARABIA」の「24h」というシリーズの中に、まさにそれと同じと思われるものを見つけて買った。
カップとソウサの一揃いをである。
色は、アイヴォリ・ホワイト。

縁まで満たすと、ちょうど500ミリリットルになるカップだ。
(ちなみに、ソウサは同じだけの量を受けられないデザインだった)
紅茶をがぶがぶと飲むのにちょうどよかった。
映画と同様に、オフィスで使っていたのだが、ソウサだけが割れた。
手が滑って落ちていく皿を、いったんは足でトラップできたかと思ったが、床に落として割ってしまったのだ。
惜しい。

その後、皿だけを探し求めたが入手できず。
近年になって無印良品がよく似た色の陶器を販売し始めたので、一枚買った。
しかしそれは、カップの相方となるソウサではなく、たんなるプレイトなので、糸底がはまり込むべき凹みがついていないのであった。

もうあきらめていたのに、Yahoo! のトップページのリンク先で、単品売りのARABIA 24hを見つけたのである。
即買い。

ガラス器で有名な「iittala(イッタラ」のロゴマークのついた箱で届いた。
ARABIAがiittalaの傘下だったとは知らなんだ。



iittalaとARABIAの両方のロゴがついたパンフ(青丸はシール)



直径195ミリ、右が無印良品の製品(色名はベージュ)



左:新しいロゴ、右:旧タイプ



カップ&ソウサ、ひさびさの揃い踏み



普通サイズのティカップ(左)よりかなり大きい

  

2015/09/28

スーパームーン






ベランダから観たスーパームーン。
月下の建物の窓に反射しているのは、夕日のあかりである。

NikonのD60にマニュアルの135ミリレンズを装着、スローシャッターで撮影。
どれほどスローかというと、1秒ぐらい。
カメラを手で持って、息を吐いたところで呼吸を止めて……とやっても駄目である。
心臓の鼓動に合わせて身体が振動するので、ブレてしまう。
という訳で、三脚を立ててカメラをしっかり固定する。
指でシャッターボタンを押すのもブレる原因となるので、デジタルカメラの場合はリモコンでシャッターを切るのがいいようです。



2015/09/26

iTunes再生ランキング


アップルのiTunesというアプリケーションソフトウェア(長いね!)を使い始めて、もう10年以上になるだろうか。
自宅のCDコレクションはすべてiTunesでリッピングして、ハードディスクに収納した。
ソフト(これはCD本体のこと)の方は売却処分したので、ハードディスクが壊れたら、わが音楽趣味は崩壊してしまうことになる。
といっても、音楽よりも静寂を好む方なので、iTunesを起動する機会はそう多くないのである。

それでもついに、再生回数が百度(注:中国版Googleと違います)に達した曲があったので、他の曲でも再生回数をチェックしてみた。
以下、ジャンル別再生回数ランキングのベスト10(末尾が度数)。
ちなみに、ジャンル分けはグレースノートによるものに準拠し、再生方法はシャッフル(1曲ずつのランダム)とストレート(アルバムを指定して、先頭曲から順に聴く)による回数の合算である。

◎JAZZ BEST 10















1. Setembro (Brazilian Wedding Song)/Quincy Jones ……100
2. Time After Time/Miles Davis ……68
3※ Here There and Everywhere/David Benoit ……50
4. Quiet Evenings/Toots Thielemans ……48
5※ A Day in the Life/Lee Ritenour ……44
6※ The Fool on the Hill/Tom Scott ……44
7※ Yesterday/Dave Grusin ……43
8※ Blackbird/Arturo Sandoval ……41
9. Again An Again/David Sanborn ……41
10. Man From Mars/David Sanborn ……40
※は、同じ『A GRP Artists' Celebration of The Songs of The Beatles』というアルバムの曲なので、このアルバムをよく聴いていた、という証しでもある。

◎ROCK BEST 10















1※※ We're All Alone (Unplugged)/Bozz Scaggs ……56
2※※ Harbor Lights (Unplugged)/Bozz Scaggs ……46
3※※ Simone (Unplugged)/Bozz Scaggs ……42
4※※ Time/Bozz Scaggs ……41
5※※ Sierra/Bozz Scaggs ……41
6. Old Brown Shoe/The Beatles ……39
7. Love Me Tomorrow/Bozz Scaggs ……38
8※※ Lost It/Bozz Scaggs ……36
9※※ I'll Be The One (Remix)/Bozz Scaggs ……33
10. Bridge Over Troubled Water [Live]/Simon & Garfunkel ……33
二つのアルバムからボズ・スキャッグズが8曲ランクインである。
※※は『Fade Into Light』というアルバム。
ボズとS&Gがロックというジャンル分けには異論あるが……

◎CLASSICAL BEST 10















1. Bach: Brandenburg Concerto #1 In F, BWV 1046 - 1. Allegro/Karl Richter: Munich Bach Orchestra ……23
2. Piazzolla: Libertango Tango Suite/Yo-Yo Ma ……21
3. Bach: Brandenburg Concerto #1 In F, BWV 1046 - 2. Adagio ……20
4. Bach: Brandenburg Concerto #2 In F, BWV 1047 - 1. Allegro ……19
5. Bach: Brandenburg Concerto #2 In F, BWV 1047 - 2. Andante ……19
6. Bach: Concerto In A Minor For Flute, Violin & Harpsichord, BWV 1044, "Triple Concerto" - 2. Adagio, Ma Non Tanto, E Dolce ……19
7. Bach: Brandenburg Concerto #3 In G, BWV 1048 - 2. Adagio ……18
8. Bach: Brandenburg Concerto #3 In G, BWV 1048 - 3. Allegro ……18
9. Bach: Brandenburg Concerto #1 In F, BWV 1046 - 3. Allegro ……17
10. Bach: Brandenburg Concerto #1 In F, BWV 1046 - 4. Menuetto, Trio, Polonaise, Trio ……17
なんとベスト2のヨーヨー・マ『ソウル・オブ・ザ・タンゴ』以外、すべてブランデンブルク協奏曲のアルバムから、という結果だった。
カラヤンのチャイコフスキーも、ボスコフスキーのシュトラウスも、アバドのモーツァルトも、アルゲリッチもパヴァロッティも……みんな圏外だ。

◎BOSSA NOVA BEST 10















1. The Girl From Ipanema/Antônio Carlos Jobim ……50
2. Vivo Sonhando (Dreamer) ……49
3. Corcovado (Quiet Nights) ……49
4. Desafinado ……49
5. Amor Em Paz (Once I Loved) ……45
6. Só Danço Samba (Jazz Samba) ……44
7. Meditation ……43
8. Agua De Beber ……42
9. Insensatez (How Insensitive) ……41
10. O Morro Não Tem Vez (AKA 'Favela') ……40
これまた極端に偏固な結果で、すべてジョビンの同じアルバムから再生ベスト10が出ている。
ただし、曲の順位はアルバム内の収録順とは異なっている。

◎J-POP BEST 10















1※※※ 恋上手/古内東子 ……91
2. 朝/古内東子 ……74
3. あえない夜/古内東子 ……66
4※※※ Hug/古内東子 ……65
5. 雨の水曜日/古内東子 ……64
6※※※ Peach Melba/古内東子 ……58
7※※※ Weekend/古内東子 ……57
8. 君には嘘をつけない/MISIA ……46
9. BELIEVE/MISIA ……41
10. ひこうき雲/荒井由実 ……37
女声ヴォーカルばっかりだ。
古内東子(ふるうち・とうこ)の『Hug』(※※※)から4曲、それ以外の古内の3曲は『Strength』より。
MISIA(ミーシャ)の2曲はそれぞれ別のアルバムより。
ちなみに、11位もMISIA。
12位に桑名正博『月のあかり』が入っている。

◎最後に、以上を踏まえての総合ベスト10。
(ドラムロール挿入w)


1. Setembro (Brazilian Wedding Song)/Quincy Jones
2. 恋上手/古内東子
3. 朝/古内東子
4. Time After Time/Miles Davis
5. あえない夜/古内東子
6. Hug/古内東子
7. 雨の水曜日/古内東子
8. Peach Melba/古内東子
9. Weekend/古内東子
10. We're All Alone (Unplugged)/Boz Scaggs
太字以外、古内東子でしたとさ(爆)
Setembroはポルトガル語の「九月」。
美しいこの曲を聴いていると、癒される。
Time After Timeはシンディ・ロウパーの歌曲をジャズでカヴァしたもの。

最後まで読んでくれた人、お疲れさまでした。



2015/09/22

彼岸にて


iPad miniのディスプレイの、傷がいっぱい入った保護シートを交換した。
価格は安いが、有名メイカー「BELKIN(ベルキン)」の製品。
畳はやっぱり……ぢゃなかった、液晶保護シートは新しい方が気持ちいい!
OSは……9にヴァージョンアップするかは検討中、悩ましい。

タニマチで墓参り。
混雑する彼岸の中日を回避した。
久しぶりに電車に乗って(たぶんお盆の墓参り以来w)大阪市内に出た。

帰りの地下鉄をなんばで途中下車して、ジャンクドゥ書店に行く。
高島屋百貨店前の横断歩道から真東に向かって商店街を歩く。
アーケード沿いのゲームセンターの北口から入って、東口へ抜ける近道を行くと、書店の入口の前に出る。
いつもの道を行こうとするが、ゲームセンターが改装のため、アーケードを歩く。
このルートで進むと、なんばグランド花月(NGK)の前を通らなければならないが、連休の最中とあって、雑踏である。
しかたなく、牛歩。

本当は、金のないときに書店になど行かない方がいいのだが、せっかく都心に出てきたのだから、というわけで行ってしまうわけである。
酒好きが飲み屋に行って、飲まずに帰ってこらりょうか。



どちらも東京創元社製



まずは二階の文庫売り場で二冊、手に入れる。
今読んでいるランキンの旧刊『黒と青』の主舞台がエジンバラなのだが、そこからさらに北へ行く。
アン・クリーヴス『大鴉の啼く冬』はシェトランド島が舞台のミステリ。
四部作で、原題には色の名(黒→白→赤→青)が入る。
土俵の上の屋根から下がる房の色と同じだ。
もう一冊はグレッグ・イーガン『宇宙消失』(原題:Quarantine)。
quarantineは隔離、孤立、遮断という意味である。
邦題からすぐに想像がつくように、SFである。



そもそも表紙が中村アン



一階の女性向け雑誌のコーナーで「and GIRL」10月号を取る。
女性のファッション雑誌を買うなんて、めったにない。
いや、初めてだ。
最近ひいきにしているモデルの中村アンの特集記事が載っているので、買ってしまった。
ええ年のおっさんが、照れくさいので他の本と一緒に買ったのか。
そもそもこっちが主目標で、文庫本が迷彩だったのか……



ビニ本でしょ、これも



いったん下りた一階から三階に上がる。
気まぐれか、それとも呼ぶ声が聴こえたのか。
ピーター・ドーソン『街で出会った欧文書体実例集』という本を見つける。
棚に面陳されていて、一番手前のものを除いて、ビニルで封がしてある。
そないもったいつけんでもええと思うんやけど……
見本扱いの手前の一冊を手にとってブラウズする。
見ているだけで楽しくなる本である。
タイポグラフィに興味のない人にとってはそうでもない本である。
買って帰りたい気持ちはやまやまだが、あきらめた。

エスカレーターで一階に下りた。
上りのエスカレーターにまた乗って、三階に戻る。
『街で出会った欧文書体実例集』のビニルを被ったやつの中から一冊抜いて、一階のレジへ持って行った。


 

2015/09/19

シルバーサーファー


世は、秋の連休であるらしい。
春の連休ほど長くないからか、「シルバーウィーク」と呼ぶ人たちもいる。
一方をゴールデン(golden)と呼ぶならば、こちらは、
シルバーン(silvern)か、シルバリー(silvery)とちゃいます?

silver surferはOALDによると、
an old person who spends a lot of time using the Internet とある。
ネットにはまってるおっさん、の意である。
私はおっさんですが、はまってまへん。

昔は、確かにはまってました。
家でサーフィンするのに飽き足らず、外でもやっていた。



表紙に見えるのがIBM PC110



「WebBoy」は、DOSで動くマシンにインストールして、ウェブの閲覧をするソフトウェアであった。
DOS上にグラフィカル・インタフェイスを実現する画期的なもので、これをIBMのPC110という小さなマシンに入れて使っていた。
分厚い文庫本を彷彿させる、ほぼA6サイズ。
コンパクトフラッシュサイズのPHS通信カードをスロットに入れて、ネットに接続していた。

1998年ぐらいのことである。


 

2015/09/18

5.25インチFD







自宅内整理中。
何年もの間、ずうっと整理中。
整理とは、不要なものを処分することなり。
断捨離と同じこと。
赤い太陽は、日の丸と同じこと。
「Excelで表にするから、CSV形式か、コンマ区切りでデータ送ってください」
CSVは、コンマ区切りや!

それはともかく。
整理中に、5.25インチサイズのフロッピィディスクを発見した。
未使用である。
そもそも、対応ドライブを所有していたことは一度もない。
Vz Editor(ビージー・エディター)は使っていたことがあるので、ソフトを買ったときについてきたものだと思われる。
つまり、ヴェンダーは3.5インチと5.25インチのFDをセットで売って、どちらかのサイズのドライブでインストールできるようにしてあったのだ。

まあ、なんにしても懐かしい。
懐かしいが、捨てずにおいても無駄である。
せめて写真に撮ってブログにも載せてやるか。
という訳である。

ちなみに、開発元の「ビレッジセンター」は2008年11月に会社解散し、今はない。

 

2015/09/17

五輪記念切手








消印がついている。
51年前の記念切手をシートまるごと封筒に貼ったのは、我が従妹である。
切手の収集を趣味としていない者にとって、このシートは135円分の価値しかないのだろう。

左上に見えるのは、非常にシンプルな印象の国立競技場である。
右側に印刷されているのが1964年大会のエンブレムである。
デザインをした亀倉雄策は、これは日の丸というより赤い太陽だと言ったと漏れ聞いたが、本当か。
日の丸て、赤い太陽のことだと思てたけど。

世間は佐野研二郎の模倣・盗作疑惑で騒いだが、亀倉にもNTTのロゴマーク盗作疑惑があったことを忘れている人が多い。


 




2015/09/16

国勢調査



 

















上の画像はiPad miniのSafariで表示させた「国勢調査オンライン」トップページである。
実際の回答は、Mac miniのSafari(v.5.0.6)から行った。
比較的簡単に入力を終えたが……簡単すぎて、かえって不安だった。
難しかったら利用する人はいない道理だけれども。

ただし、Mac miniのSafari上での入力の際、ウィンドウ内ウィンドウに設定されたスクロールアローが表示できずに困った。
これは、文字サイズを「小」にすることで回避できた。

母が電話をかけてきて、自分の回答をPCでするから見てくれと言う。
実家のマシンはおにぎり型のiMacで、OSは9.2である。
ブラウザはIEの5だったはず(たぶん)。
さっそく行ってみたが、全部を息子にさせる気らしい。
個人情報を含むものの入力を、自分以外の者に依頼するのはOKか?

Internet Explorerは国勢調査オンラインに対応できず。
それは充分予想できたことなので、簡単にあきらめて、iPad miniを使った。
郵便受けに配付された封筒(封はされていない)には「市区町村コード」と「調査区番号」「世帯番号」が印字されていて、配付宅に紐付けされているようだ。
封筒の中には、IDとパスが印刷されたリーフレットが入っている。

IDとパスを使って回答入力画面にアクセスする。
回答入力終了後、新パスワードを設定させて、入力内容を後で修正できるようにしている。
親切なようでいて、これもまた不安感を煽る。
錠前を締めたら、鍵は捨ててまう、ちゅうのが一番安心やないの。

 

2015/09/12

四か月ぶり





久しぶりに投稿採用さる。
投稿がではなく、採用が久しぶりである。

10月号は9月9日に搬入予定というアナウンスがされたので、大阪の本屋に出回るのは10日の午前だろう。
そう見込みをつけて屯書店(仮名)に行ったが、なかった。
9月号の売れ残りが一冊、棚に挿してあった。
ちょうど台風18号が関東で暴れている時だったので、配送便が遅れていたのだろう。

翌日、別の本を図書館に借りに行って、件の10月号を見つけた。
ICタグの装備を終え、ビニルカヴァもつけられた状態で雑誌のコーナーに並んでいた。
テーブルに持って行き、座って読む。
読者投稿欄の「三角窓口」に拙稿が掲載されていた。
今回のショートエッセイは新訳のチャンドラーと岩波国語辞典にまつわる話である。

特集は「角川春樹」。
読み出したら簡単には止まらなくなって、しかし閉館時間までに読めるはずもなく、無理矢理あきらめて本屋に走る。
自宅に戻って、移動手段を徒歩からミニヴェロに変える。
最寄りのO書店には『本の雑誌』は置いていないので、屯書店(仮名)まで行くのだ。

図書館には入っている新刊が、店では見当たらない。
9月号の売れ残りが一冊、棚に挿してあった。
そう書いた、先日のままの状態だった。
ひょっとして、取扱いを停止したのか……
9月号を抜いて、レジに行く。
抜本的対策である。

「これの10月号が出ているはずなんですが、まだ入荷していませんか」
すると、すぐにレジの後の棚から取り出されてきたのである。
うかがい見ると、10冊ぐらいの『本の雑誌』が積み上げてあった。
面倒くさいので、理由はたずねていない。


 

2015/09/04

プロとして・2


逆説的に言えば『プロとして恥ずかしくないデザインの大原則』という本を読むことの方が、プロとして恥ずかしいかも。

佐野研二郎氏とのインタビュー記事が掲載された『Real Design』(えい※出版社)という雑誌を新たに発見した。(※えいは「木」扁に「世」)
7年前のものである。
「Real Portrait Creator」と銘打ったコーナーに佐野研二郎氏とのインタビュー記事が掲載されている。



『Real Design』No.19, January 2008



顔は見せられませんってか。髪の毛で判るよ



掲載年に佐野氏は36歳。
まだ博報堂クリエイティブセンターに所属していた頃である。
銀座のガーディアン・ガーデン(ggg)で開催された「ボツ展」について語ったことが記されている。
今回の事件を連想させる二か所を引く。
▼佐野
「世間の人には完成された広告だけを見てもらうんですけど、
 ボツ案には完成品の根っこがあると思ったんです。
 プロセスって、やっぱりおもしろいじゃないですか。
 アイデアの変遷がね。(後略)」
「(前略)それと、「No Photo No Blog」という張り紙も出しました。
 いまって、写真に撮ったそばからウェブに貼り付けられるじゃないですか。
 それってリアルじゃないし、体感が薄れると思うんですね。
 JPEGで画像がいくらでも検索できるいま、会場だけで見られるものにしたかった。
 (後略)」


個人の感想だが、五輪の組織委員会の長に森氏が就いたと聞いた時に、不安な気持ちになった。
新・国立競技場の建設予算が大幅にオーバーすることを聞いた時には、不信感を抱いた。
エンブレムの問題は不快だが、最も不快なのはベルギーのデザイナー氏の態度である。
チンピラが因縁をつけているとしか思えない。
そもそも、そんなに似てへんでしょうが。

さて、諸問題への対処を、どうするのだろうか
組織委員会の会長は、一連の不手際の責任をとってもらい、解任。
そして、五輪大臣補佐官ぐらいの地位に、デザインセンスを持ち合わせる総合プロデューサーが必要だ。
誰かいい人おらんかな……秋元康みたいな人。
国立競技場の設計・デザインは、指し値で安藤忠雄氏にやってもらう。
施工も同様の方式で。
エンブレムのデザインも同様に佐藤可士和氏を指名する。
つまり、それぞれの親分が始末をつけるという形である。
どですかでん。

 

2015/09/03

プロとして







小雨降る中、近くの田園地帯を散歩した。
実りつつある稲の田の傍らに、モダンな農家を見つけた。
農家と思うで……たぶんね。
極端に細い敷地に載った、総ガルバリウム張りの直方体。
塗装もしていない無垢の状態ではなかろうか。

通り過ぎて少し行くと、旧というよりも本、といった方がいいのではないだろうか、西国街道(さいごくかいどう)と交差する。
街道は、それと判るように路肩に石畳が敷設されているのである。
往時を偲ばせる、こちらは純和風の大きな農家が、道の両側に立ち並んでいる。








ところで、最近巷を騒がせていることの最たるは五輪のエンブレム問題だろう。
我が本棚に『プロとして恥ずかしくないデザインの大原則』というMOOKを見つけた。
盗んではならぬ、という当たり前過ぎることは、書かれていない。

デザインの仕事に携わっていた頃に、先輩ディレクターから教わったことに、
「学ぶはマネぶに通ず」というのがある。
逆だったかも知れぬ。
「マネぶは学ぶに通ず」か。
他人のデザインを真似るのも勉強だ、という意味である。

デザインを志す者は、美術館に行って多くのアートを鑑賞したり、映画をたくさん観たり、本や雑誌もしこたま読む。
他人の作品に接することを勉強の一助とするのである。
その中で、インスパイアされたものをメモライズする。
展覧会のチケットの半券を残しておいたり、映画のパンフレットを購入したり、雑誌を切り抜いたり、自分の手でスケッチしたり。
それらの断片を保存しておく。

断片は手帳やノートに貼り付けておいたり、専用のスクラップブックを用意してファイリングする。
それが何冊もたまっていって、けっこう大きなアイデアソースとなるのである。

佐野研二郎氏は、大層勉強して、ファイルを山ほど作ったのではないか。
エンブレムのデザインを考える際には、着想を得るために自分のアイデアソースを含め、いろいろなものに目を通していたに違いない。
観に行って感銘を受けた、ヤン・チヒョルト展のバナーの写真がスクラップされていたとしても、またそのイメージが作品に反映されたとしても、不思議ではない。
だから、五輪エンブレムの原案はヤン・チヒョルト展にインスパイアされてできました、と釈明した方がまだよかったのに。
しかも、悪人面でかなり損をしたな……と思うのである。
ごめんな。

デザイン界の誰も彼を擁護しようとしないのは、彼の落ち度を認めているからだろう。
デザインに携わる者たちが同じような方法(他人の作品からも学び、得たものを時として自分の作品に活かす)で仕事をしている以上、同様の火の粉が自らに降りかからないように、口を噤んでいるのかも知れない。