2018/07/02

卑怯者の試合-->


そもそも、おぬしらは侍ではなかったか。
刀を抜いて敵と向き合ったのなら、どちらかが倒れるまで戦うのが命。
相手の手の届かないところでパスを回し続け、時を浪費するなど卑怯千万!

とはいうものの、これは現行のルールを遵守した上でのフェアプレイだったのである。
すなわち、ルールや、FIFAが設けるシステムの方にこそ、欠陥がある。

ワールドカップ・ロシア大会では、EPTS(Electronic Performance & Tracking System)が導入され、FIFAによって認可された分析データを、各国チームが受信して利用できるようになった。
試合中のベンチに、電子機器を持ち込めるようになったのである。
加えて、観客の手の中にはスマートフォンがあり、スタジアム外の情報も観客経由で入ってくるのである。

予選リーグの最終試合は、2試合が同時に行われる。
一方の勝敗を知ってから試合に臨ませない、という配慮からである。
ところが、日本チームは試合中にセネガルチームの動向を把握して、負けているのに反撃をしない、という賭けに出た。
セネガルが1点取り返したらオジャンになる、危険な賭けに。

EPTSはもちろん、スタジアムでの電子機器の使用を禁止すれば、他の試合のことを気にせず、自分たちの試合に「勝つことに」集中できる。
しかし、簡単にはできそうにない。
それよりましな手がある。
ルールの改訂である。

NBAを参考にして……
▼30秒ルール
自陣でボールを保持(ポゼス)するのは30秒以内に制限する
→30秒以内に、相手陣にボールを持って攻め入らなければならない
▼バックフィールド・ヴァイオレーション
いったん相手陣に持ち込んだボールを、ハーフウェイラインを越えてバックパスしてはならない

これらは、かなり厳しい「縛り」である。
試合は、互いに攻撃的になり、スペクタクルは増す。
ゴールキーパーを除く20人の選手がフィールドの、どちらか半分の中に入っている状態が、頻繁に入れ替わるのである。
45分間、続けられないかもしれないが……卑怯者の試合は、なくなるに違いない。