ピンクの豚って言うたらあかん、と釘をさされてはいるんですが……
なぜかと言うと、それはあるフットボールチームの「蔑称」だからだそうです。
そのチームと対戦する相手のサポーターがその名前を呼んだり、横断幕に書いて掲げたりすると、出入り禁止の処分を受けることがある。
そういう事件を起こしたことにより、クラブ自身もリーグから処分を受けることがある。
自分としてはピンクの豚っていう言葉を耳にして想起するのは、憎悪ではなく愛玩の対象としての「めす豚ピンキー」なので、スタジアムで相手チームを豚よばわりするのは、せいぜいがからかいの気持ちからである。
くたばれ豚野郎、なんて絶対に思ってへんから。
ピンクの豚、ぢゃなかった旗で満杯のクルヴァ・スッド |
2014年9月20日土曜日、Jリーグ1部第24節ガンバ大阪対セレッソ大阪戦。
「大阪ダービー」と名付けられた一戦で、ガンバが勝利を収める。
2-0。
得点者:#13阿部、#20佐藤
後半終了直前、#39宇佐美→#10二川とパスが通り、シュート。
キーパーが止めたが、前にこぼれたボールを佐藤が蹴り込んだ。
最高の幕切れだった。
六つ目がなかなか獲れない星たち |
この日、ちょっとした騒ぎが二つ起こった。
一つは日本代表チームの監督であるハビエル・アギーレが視察に訪れたこと。
彼が座ったVIP用のボックス席のまわりに、まるで人気歌手に群がるかのごとく観客が押し寄せた。
雑居浪人が来たときにも起こらなかった事態に、クラブのスタッフが慌てた。
騒ぎの二つ目はそれ以前にメインスタンドのど真ん中で起こっていた。
ガンバサポーターの少年が、セレッソサポーターの友人と二人で座っていた。
その友人君がセレッソサポーターであることは、ピンクのユニフォームから明らかである。
それを間近で目にしたガンバサポーターの一人が、因縁をつけたのである。
周りの人が振り返るぐらいの大きな声でそのガンバサポーターが叫んでいたのは、ここはお前なんかの座る場所やない、出て行かんかいという趣旨の言葉だったと推察する。
はっきりとは聴きとれない距離だった。
対戦相手チームのサポーターがホームチームのサポーターの集まる席に座ることは遠慮されるべき、というのが暗黙のマナーになっている。
試合を運営する側のクラブも、相手チームのサポーターに対してはアウェイ側の席を使うように案内をしている。
そうしないと危険だからである。
憎悪のエネルギーをベースにして応援をしている輩が多いための措置でもある。
頑として席を離れようとしないセレッソサポーターの少年は、かえって健気に見えた。
ピンクのシャツの上にジャケットを着て隠そうとするのだが、例のガンバサポーターは許そうとしない。
やがて、騒ぎを起こしたサポーターたちは姿が見えなくなったのだが、それぞれスタッフが話をつけて、どこかに連れ去ったようである。