2016/09/29

65歳の新人賞受賞作


図書館で翻訳小説の棚を渉猟していて『記者魂』というタイトルを見つけた。
早川のポケットミステリで、MWAの最優秀新人賞受賞作だ。
作者はブルース・ダシルヴァ、当時65歳の元新聞記者である。
翻訳からすでに5年経っている。
小説にしろ映画にしろ新聞社が舞台のものが好きなのに(例えば『大統領の陰謀』『クライマーズ・ハイ』)、チェックできていなかった。

『記者魂』の原題は、Rogue Island。
訳せば「ならず者の島」となるが、これは作品の舞台となるロード・アイランド州の仇名ということである。
記者魂ときけば普通は、ニューズソースは明かさない、権力に屈しない、正義を貫く、などの言葉が想起されるが、この作品にそれらを期待すると裏切られる。
ダシルヴァの小説は今のところ『記者魂』一冊で、本国で二作目が出版されたという情報も得ていない。
65歳の処女作で新人賞を受賞して、そのまま終わるのか……?

〈ちょっとネタばらし〉
主人公の記者が情報を得るために複数の偽名を使う。
ジェブ・スチュアート・マグルーダー
チャック・コルソン
ジェイムズ・W・マッコード
それを手伝う後輩記者にはゴードン・リディの名を騙らせる。
「それにしても、ゴードン・リディって誰なんです?」
と若い記者は訊くのだが……
この件り、解説も訳注もないので本ジャーナルが独自に伝えるのであるが、いずれの名も、かのウォーターゲイト事件に関与した人物のものである。
若い記者がそれを知らないという設定は、作者が記者の資質を卑下したいがゆえか、ウォーターゲイト事件が忘れ去られていることを暗示したいがゆえか。

 

2016/09/26

トム・クルーズのSF


気まぐれなブログ。
九月はこれでやっとこさの2エントリーだ。

アメリカンフットボールのプレイに「Hail Mary」と呼ばれるものがある。
タッチダウンを狙って、ロングパスをエンドゾーンに投げ込むのだが、この時に攻撃側のレシーバー(複数)とディフェンダー(同)が両手を天(実際はボール)に向かって差し伸べる様子が「マリア様に幸いあれ(Hail Mary)」と言っているように見えるのである。
ちなみにHail Maryはラテン語では「Ave Maria(アヴェ・マリア)」となる。

『オブリビオン』という映画のソフトが手に入ったので観た。
どんな突飛なイメージもCGで描くことができるようになり、SF映画の内容がよりリアルになったことに感心する。
この映画の主演者はトム・クルーズだ。
『ミッション:インポッシブル』とか『ジャック・リーチャー』とか、いろいろ演る人だ。
桜坂洋の原作を映画化した『オール・ユー・ニード・イズ・キル』にも出ているが、これもSFだ。
意外に出演料は安いらしい。
だから本数をかせいでいるのかな?

『オブリビオン』では架空のスーパーボウルの試合を主人公が語る。
試合終了間際、クォーターバックが逆転を狙うロングパスをエンドゾーンに向かって投げる、というシチュエーションだ。
「観客総立ち」と吹き替えられるのだが、実際の台詞は「Hail Mary」なのである。
翻訳者はアメリカンフットボールを知らない人だったのか、知っているけれども吹き替え用の訳に窮したのか。
QBがロングパスを投げた、ヘイルメアリーだ! ですむところを、知識のない人にもわかる短い言葉で伝えなければならないのだから、仕方のないところだろうか。
「選手が天を仰いだ」ぐらいの訳が欲しかったな。


 

2016/09/11

ガンバ大阪オフィシャルマガジン


2016年9月10日土曜日。
Jリーグ1部第2ステージの第11節のマッチデイ。
エキスポフットボールパークではガンバ大阪対甲府の試合が開催された。

試合前、隣接する商業施設「エキスポシティ」内のツタヤ・ブックストアでガンバ大阪発行のオフィシャルマガジンを買う。
#Gambagram(ガンバグラム)という企画ページがあって、ここはツイッターやインスタグラムを介して読者が写真を投稿する場所である。
taqueda11(タケダイレヴン)という名でツイートしたものが採用された。



通称「Gマガ」第62号の表紙

























銀屋根が影をおとすバックスタンドを写している




















1階のスーパーマーケットで飲食料を買ってスタジアムへ。
クラブのスタッフが誘導するのを無視して、近道を行く。
Jリーグのアドヴァイザーである夏野剛氏も言っているのだが、駅からスタジアムへの道は、あまりにも遠い。

ガンバ大阪対甲府戦。
0-1から逆転し、2-1でガンバが勝った。
ひさびさにフットボールらしいものを観た。