五回の冬、とは『真珠湾の冬』(ジェイムズ・ケストレル著/山中朝晶訳/ハヤカワ・ミステリ/2,200円)の原題であって、小説の背景となる1941年11月26日から1945年12月31日までを表わしている。ホノルルの警察官ジョー・マグレディは、ある事件を追ってホノルル→香港→東京→ホノルル→香港→東京と堂々巡りをして、最後は温泉に浸かるが、のんびりとした話ではない。1941年冬・ホノルル・真珠湾とくれば、つい先日書いたばかりの開戦記念日を想い出す。マグレディ刑事の捜査にも戦争が大きに影響する。『Five Decembers』は、権威あるアメリカ探偵作家クラブ賞の最優秀長篇賞を受賞したということだが、翻訳書には納得のいかないところが一箇所あって、そこを読んだ時、ページを飛ばしてしまったのかな、という違和感を持った。日本家屋の描写がNGであることは、お約束の通りである。ちょっと残念。
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