2022/11/05

薔薇の名前

普段、翻訳ミステリばかりを読んでいるので、国内作家の本を買うと、値段の安いことに驚く。つまり前者には翻訳権料や翻訳家に支払うお金が余分にかかっているということである。

それはともかく。自分の存在というものに疑問を抱き続けて何十年、ハイデガーの『存在と時間』を読めば少しでも慰めが見つかるかと思っていたのだが、難解で取りつく島がない。ある時、筒井康隆の「誰にもわかる」という『存在と時間』の解説本を読んだが、あまりピンとこなかった。

それよりも、解説者(筒井ではない、別の人)が、ウンベルト・エーコを引き合いに出して、あろうことか『薔薇の名前』のネタばらしを書いていることに激しい怒りを覚えた。『薔薇の名前』も翻訳ミステリなのだが、死ぬまでには読もうと思っていた作品だけに、犯人の素性と犯行の手口を、これほどハッキリと書かれてしまっては、もう読む楽しみはないのである。

そんな訳で、読んでから観ようと思っていた映画版『薔薇の名前』をU-NEXTで観ることにした。主演はショーン・コネリーと若きクリスチャン・スレイターである。映画が始まって間もなく、犯人が分かる。もちろん私にだけということだが、興は削がれた。あとは、中世の宗教世界がいかに映像化されたのか(プロダクション・デザイナーの腕の見せ所)を観賞するだけである。


0 件のコメント:

コメントを投稿