2010/05/26

The Enforcer

enforcerにはいろいろな意味がある。
執行者、強制する人。
アイスホッケーではラフプレイ専門の選手のことも、こう呼ぶらしい。
また俗語として用心棒、殺し屋とも。
そして "The Enforcer" とは、映画『ダーティハリー3』(James Fargo作品、1976年)の原題である。
とりまきに操作される市長、市長にとりいる警察のお偉方、お偉方が管理しようとする粗暴な警官、警官が追うテロリスト……本作に登場する人物すべてにあてはまる。

Albert Popwellという俳優が、黒人過激派のリーダーであるMustapha(ムスタファ)を演じている。
出番は少ないが、Harry Callahan刑事とからむ、けっこう重要な役柄だ。
この役者……第一作の『ダーティハリー』の冒頭で、Harryに撃ち倒された銀行強盗も演じている。
傷も癒え、出所して、また悪の道に戻ったのか……?
いや、そうではなかった。
調べてみるとPopwellは『ダーティハリー2』と『ダーティハリー4』にも、別々のキャラクターとして出演していたのだった。

本作でのMustaphaの台詞が面白い。
Harryの、お前たちは何をしているとの問いに、Mustaphaは待っていると答える。
「白人同士が殺し合って絶滅したら、我々(黒人)の出番だ」

古本を整理していたら、知らないうちにダブりで買った文庫が出てきた。
そのうちの一冊『敵手』(ディック・フランシス著、ハヤカワ文庫)に手紙をつけて、以前の同僚A君に送る。
読む本の傾向が似通っていた彼と、読み終わった本をよく交換していたのだ。
『大穴』を気に入ってくれたようなので『利腕(ききうで)』も進呈した。
いずれも片腕の調査員シッド・ハレーが主人公で、同じ主人公が登場するのはフランシスのシリーズ作品としては珍しい。
『大穴』(1965年)『利腕』(1979年)『敵手』(1995年)を連続で読むと、いっそう楽しめる。
これらを勝手に「シッド・ハレー三部作」と呼んでいたのだが……2006年の『再起』でシッド・ハレーが四たび登場した。

『敵手』を発送して、最寄りのBOOK・OFFへ。
フランシス作品は、一冊も棚にない。
誰も売りに出さないのか、それとも。
パーカーを仕入れたかったのだが、この作家もまた品薄。
古本であってもよく売れているのか、それとも。
結局、宇江佐真理『雨を見たか』(髪結い伊三次捕物余話の第7集)を買って帰る。
第5集のタイトルが『黒く塗れ』、いずれも有名なロックの曲名がベースになっている。
前者が "Have You Ever Seen The Rain" by Creedence Clearwater Revival。
後者は "Paint It Black" by The Rolling Stones。
著者の筆名が "weather" であることは……以前書いたっけ。
 

2 件のコメント:

  1. CCRは懐かしい名前です。
    ついでにEarth, Wind, and Fireなんかも思い出してしまいました。

    しかしそれにしても伴兵衛さんは読書家ですね。

    尊敬します。

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  2. コメント感謝>hirakenさん
    どうせ大臣、もとい同世代人なので音楽体験も共通ですね。
    本は好きですが遅読で、週に1冊読めればいい方なので、読書家といわれるとちょっと恥ずかしいです。
     

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