2023/02/12

天使と死神

好きな映画の中に『天国から来たチャンピオン』(原題:Heaven Can Wait/1978年・アメリカ)『ジョー・ブラックをよろしく』(原題:Meet Joe Black/1998年・アメリカ)がある。両方ともわがオールタイムベスト20に入る作品である。ベスト20に入るって言っている作品が過去にいくつもあって、20を超えてしまっている可能性があるので、そのうち整理・集計する必要がある。

上記の2作品は、ともにファンタジィである。すなわち現実世界にはあり得ない話を映像化している。『天国から来たチャンピオン』では、天使がミスをして、死ぬはずではなかった人を天国の入り口まで連れて行ってしまう。一方『ジョー・ブラック…』では、死ぬことになっている人を、死神が迎えに来るという設定である。あり得ない話であるが故に、娯楽として成立するのだが、人が亡くなる話は、やはり切ない。

在京の小出版社である本の雑誌社を、椎名誠とともに立ち上げた、目黒考二さんが急逝した。ステージIVの肺がんが見つかって、1か月後に亡くなったそうだ。突然の訃報には驚いた。新聞の死亡記事も目にしたが、信じられないのである。天使のミステイクだと思いたい。

そして、アメリカの作曲家バート・バカラック[Burt Bacharach]が逝った。彼は94歳だったので、天寿を全うしたと言ってもいいだろう。死神が予定通りに迎えに来たのである。バカラックは特に好きな作曲家であり、PCのディスクの中にも彼のアルバムが収録されているし、めったにないことだが自伝も持っている。『バート・バカラック自伝 ザ・ルック・オブ・ラヴ』(原題:Anyone Who Had a Heart: My Life and Music)には彼の85年の人生が赤裸々に描写されていて、ファンにとっては一読の価値がある。バカラックは映画音楽のフィールドで活躍し、『明日に向って撃て!』(原題:Butch Cassidy and the Sundance Kid)では「雨にぬれても」(同・Raindrops Keep Fallin' On My Head)でアカデミー主題歌賞を受けているが、小生のお気に入りはインストゥルメンタルの「South American Getaway」という軽快な曲である。


毎日新聞掲載の死亡記事






















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