2023/02/11

パンチと白味

学生の頃、放送局のニュースフィルム編集室でアルバイトをしていたので、パンチ白味(しろみ)も実体験がある。野上照代『天気待ち』に出てくるパンチは、ポジに現像したものの、NGとなったカットが写っているフィルムの齣(こま)のど真ん中に、穴を空けてしまうことを言った。

私が知っているパンチは、OKのフィルムの枠の右上隅に打つものだった。これはすなわち、ある一定時間数のコンテンツを記録したフィルムを映写するときに、その時間数が間もなく尽きるということを、画面を観ているディレクタに伝える合図である。

フィルムの終点から逆算して3秒ぐらいの場所に、一つ目のパンチ穴を空ける。二つ目を終点の直前に空ける。パンチは物理的な穴なので、映写された画面上では白く抜けた穴として見える。ただし、見える時間はおよそ0.1秒。パンチが現われることを知っている人には見える。知らない人にはフィルムの汚れとしか見えないだろう。

ディレクタは、一つ目のパンチを見たところから、3・2・1とカウントして、二つ目のパンチで画面を切り替える。たとえばキャスタの顔をとらえているライヴカメラの映像か、別のフィルムコンテンツに、である。もちろん、これも昔の話なので、今はフィルムがV(ヴィデオ)に置き換わっている。

ディレクタがスイッチ(画面切り替え)するタイミングが遅れると、どうなるか? 画面に白味が現われるのである。動画が記録されているフィルムの終点から後に、黄色っぽい乳白色のテープが、つなげられているからである。この部分は、フィルムをリールに巻き取る際の保護の役もしている。白味のところまで映写してしまうと、画面が乳白色に染まってしまう。これは放送事故として責任を問われる。

スイッチのタイミングを逸しても大丈夫なように、最終カットを長めにしておいたり、最終カットの後に予備のカット(捨てカットと呼ばれていた)をつないでおいたりするのが、編集者のテクニックの一つだった。


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