バターナイフが壊れた。壊れる? Do You こっちゃ。薄い板である刀身を挟んでいたハンドルが取れた。カシメてあると思っていたのに、接着剤で引っ付いていただけのようだ。つまり、ハンドルの素材はプラスチックだということである。購入して、もう何年も経つ。安物であることを承知で買ったのは、祖父が愛用していたナイフと形や色が似ていたというセンチメンタルな理由からだった。祖父のナイフのハンドルはプラスチックではなく、たぶん象牙製だ。今、ツヴィリングが販売している「ボブ・クレーマー」シリーズに装備されているようなものだった。
それはともかく。『風に吹かれて』を読み終わった。五木氏も、こう書いている。「…単語やフレイズが、全くなんの脈絡もなく私の内部から意識の表面に浮び上ってくることがある」。まったく初見同様のエセー群の中に、記憶が鮮明なのが一編だけあった。五木氏が作詞して初めて世に出るCMソングの歌い手として、録音スタジオにやって来たのが15歳の女子学生だったというエピソードである。この歌手の名がビッグになったことで印象が強かったのだろう。
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