単語が唐突に、何の脈絡もなく頭に浮かんでくる。この間は「カルタヘナ」だった。あらためて調べてみると、スペインとコロンビアに同名の都市があった。また、遺伝子組み換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律{通称:遺伝子組み換え(生物等)規制法}のことを、最初に話し合いがされたコロンビアの地名に因んで「カルタヘナ法」と呼ぶらしい。過去にどこかで聞き知ったのだろうが、突然思い浮かぶ理由は判らないのである。
印刷会社から広告制作会社(いわゆるプロダクション)に移籍して、アシスタントディレクタになった。略してADである。私をスカウトした社長(大学の同級生)は、お前の印刷に関する知識と営業センスを活かしてくれ、大企業のシステムについても教えてほしい、と言った。私にセンスなどなかったのにである。あるとすれば、それはエゴコロであった。
広告の仕事はグラフィカルなものから、実際に人間が現場で動くイヴェントまで多岐にわたる。各各に企画があり、企画書に基づいたデザインが構築される。企画立案を専門にする者はプランナ、売り文句を考案する者はコピーライタ、写真を撮る者はフォトグラファ、画を描く者はイラストレイタ、画面構成を行なう者はデザイナ、というように担当が分化されているのだが、ADとして、写真以外の仕事は、すべて経験させられた。事務所にフォトグラファはおらず、必要のある時は写真事務所からプロのカメラマン(=フォトグラファ)を雇う。そのカメラマンに、ああせいこんな画を撮れ、と指示をするのがディレクタという仕事であった。映画製作でいえば監督が、これにあたる。他のディレクタと区別するために、クリエイティブ・ディレクタ(略してCD)と呼ぶことが多い。
ADになって、デスクワークが主になった。御用聞きではなくなったので、内ポケットに手帳が入った背広を着ることもない。企画やデザインをするのには大きな紙面がよかろうと、思い切って大きなノートを用意した。A4サイズのルースリーフ(ルーズ、は誤り。だらしないの意味のルーズも正しくはルース)なので、もはや「手帳」とは呼べない大きさだった。
コンパクト手帳からA4のルースリーフノートへ。 キングジム製のバインダは、貰い物だった。 |
30穴のルースリーフノート。 (記載例は当時のものに非ず) |
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