昔の話だけれど……
最初の就職で印刷会社に入って一週間経ったころ、大学の同窓生でもある先輩社員が亡くなった。
自分よりたった2、3歳年上の営業マンだった。
死因は、校正刷りを断裁する際にカッターで傷つけた指からウイルスに感染したことによる、劇症肝炎だったと聞かされた。
部品加工の訓練においても充分な注意が必要だ。
けがき針の尖端で指を突いてケガをした訓練生がいたが、亡くなった先輩のことを思い出して、ひやっとしたものだ。
小さな傷でも、死に至る。
閑話休題。
2種類のフィンガーが完成したら、自動機にセットしてテストランを行う。
いや、自動機だけれど、とりあえずテストの段階ではマニュアル(手動)で動かす。
フィンガーがワークを把持(はじ)するのを確認するのが主目的だ。
本番はまだずっと先のことで、その時には自動機はシーケンサによって制御される。
映画用語で「シークエンス(sequence)」はひと続きの場面を指す。
論理的な順序でつながったストーリーという意味だ。
シーケンサ(sequencer)とは、論理的な順序にプログラムして機械を自動制御する装置と思えばいい。
Programmable Logic ControllerすなわちPLCと呼ばれるゆえんだ。
PLCは専用ソフトを使ってプログラムするのだが、それが画面上にハシゴ(ladder)状に表記されるので、「ラダー」と呼ばれている。
ラダーの技術者には求人の引き合いも多いが、生産管理技術科の訓練ではそれをきわめるところまではいかない。
Arduino(アルドゥイーノ)もPLCのようなものだ。
むき出しの基板の上にマイコンチップが搭載されていて、USBポートでPCと接続できる。
PCにダウンロードされた専用アプリケーションソフトを使ってマイコンをプログラムするわけだ。
ラダーとはまったくちがう言語で記述するので、訓練の参考にはならなかった。
左上がUSBポート。I/Oと電源のルートを兼ねる |
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