2016/02/26

『悲愴』と二・二六事件


『本の雑誌』への投稿を、ほぼ毎月している。
最近はあまり採用されないが……
もったいない?のでボツ原稿をリサイクルしようぞ。

投稿のタイトルも『偏固ジャーナル』なので、ブログ版と『本雑』版が存在することになるが、ダブりはないのである。
(以下、改行位置をブログ用に変更)

△偏固ジャーナル忘月。
隣に引っ越してきた人が出すノイズに悩まされている。
直接会って苦情を言うのが正攻法だが、対決を嫌って次善の策をとることにした。
PCでiTunesを起ちあげてBGMを流す。
ハードディスクに収められたリッピングデータの音源であるCDはB●●K・●FFに売り払い、一枚も残っていない。

陽の高いうちならボッサノーヴァを聴く。
隣室の音を遮りつつも読書の妨げにならないようにインストゥルメンタルの曲を選ぶ。
ところが今読んでいる本にラテンアメリカのノリが合わないのである。
そこでiTunesの検索窓にclassicalと打ち込むと、わがコレクションの中からトップでヒットしたのがチャイコフスキーの交響曲第六番『悲愴』であった。

小雪舞う早暁、首相官邸に反乱軍が討ち入りを果たす場面のBGMとして『悲愴』がまさにおあつらえむきだったのが『大日本帝国の興亡』である(つまり討ち入りとは二・二六事件)。

翻訳以外も読むんかいと突っ込まれそうだが、著者はアメリカ人のジョン・トーランドで毎日新聞社訳のレキとした翻訳本(全五巻)である。終戦とほぼ同時に設立された早川書房が七十周年企画として旧版に加筆してリメイク(価格は二〇〇五年比で六割七分六厘アップ)した。
私がすすめる一冊(五冊)および二〇一五年のベスト2(注:ベスト1は『街で出会った欧文書体実例集』)でもある。
(武田伴兵衛・ハヤカワの宣伝マンか59歳プラス1・豊中市)

終戦から71年。
開戦はその4年前、二・二六事件はその5年前のことだった。


 

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