2016/02/08

プロトタイプ01


四年ぐらい前のことになる。
LEDのマトリクスを自作しようと思い立った。
その頃よく通っていたスタジアムの最前列の手すりに、横断幕の代わりに電子バナーを吊るそうという思惑だった。

市販品のLEDマトリクスは一体成型されているので、分解して中の構造を調べることは、素人には不可能である。
64個のLEDが8かける8のマス目状に並べられている。
背面には端子のピンが8本、上下に一列ずつ、合計16本突き出ている。
64個のLEDの点滅を、この16ピンで制御するのである。

LEDのメーカーのウェブサイトで調べてみると、各製品の仕様書がPDFで読めるようになっていた。
現物をリエンジニアリングすることは無理でも、仕様書が読めればOKだ。
その仕様書の中に、64個のLEDの回路図が記載されていたのである。
中学校のアマチュア無線クラブに所属していた頃から、回路図を読むのは苦手だ。
しかし、部品は脚が2本のLEDだけなので、つなぎ方さえ理解できればいい。
要は、LEDのプラス側の脚だけ連結して8行、マイナスの脚を連結して8列のマトリクスを作る。

脚の連結は、ハンダ付けで行う。
これまた苦手種目だ。
手先は器用だと自惚れていたのが間違いだったと思い知らされる時。

材料のLEDは、日本橋の部品屋で手に入れておいたものだ。
特売品で、ポリ袋にがさっと100個入れられたものが、1000円だったと記憶している。



とりあえず、これが最初にできたLEDマトリクス



















配線が終わった時の状態



















Arduinoそのものが取り付けられている



















LEDマトリクスの点滅を制御するプログラムは、他人が書いたものをウェブ上から拝借して、それに手を加えた。
Arduinoは、ハードもソフトもオープンソースなので、気兼ねなく使えてありがたい。

プログラムに手を加えた、と書いたが、回路図同様にプログラムもほぼ読めない。
少ないながら読める部分があって、そこには文字の形が64個のドットで記述されていたのである。
点灯するドットは「1」、消灯するドットは「0」で書かれていて「1」の部分をつなげると1個の文字に見える。
8かける8ドットのフォントならば、得意分野である。
こつこつ「1」と「0」を書き分けていけば、やがて文字列ができ上がる。
文字列を右から左へスクロールさせるのはプログラムの残りの部分がやってくれる。

こうしてプロトタイプ01、と今では呼んでいるLEDマトリクスは完成したのだが……
特売品のLEDは光量不足で、昼間のスタジアムではとても使い物にはならなかったのでした。


 

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