実家を襲い、母の傘寿を祝う。
旅行にでも連れて行ってやりたいが、大したことはできず無念。
せめてもの思いで、過去の旅行の写真を表示できるデジタルフォトフレームを贈る。
コンパクトフラッシュとSDカードの両方に対応したS社の製品だ。
今を逃がすとCF対応の製品はもう手に入らないだろう。
予想以上に表示が美しい。
弟の嫁が赤い靴を贈る。
サイズ合わせが難しいものを贈るのは勇気のいることだ。
弟が買ってきたバースデイケーキでお茶を飲む。
主餐はビーフカレー。
二日前に来て、作っておいたものだ。
仕上げに市販のルウを入れるが、その他のレシピは偏固オリジナル。
味は……おおむね好評。
別の日。
TVで『お葬式』(伊丹十三作品、1984年)を途中から観る。
なんと、もう30年近くも前の作品か。
井上陽水の出演シーンを確認。
あらかじめ役柄を知っていなければ彼とはわからない。
白服の青木(津村隆)に井上佗介(山崎努)が「それでスクーピックを持ってきたのか」と言う台詞がある。
一般の人はまずスクーピックを知らないだろう。
青木は手持ちのムービーカメラで葬儀の準備を記録しているのだが、そのカメラの名前がScoopicなのである。
報道カメラマンが取材に使う16ミリのカメラ(Canon製)だ。
放送局でアルバイトをしていた頃に、払い下げてもらうつもりになっていたのだが、ふんぎりがつかずじまいになった。
Scoopicを手に入れていれば、ひょっとして今頃は映像作家だったかも……
青木が撮影した白黒の映像が本編に組み入れられているが、実際に撮影したのは写真家の浅井慎平であることが、エンドロールにクレジットされている。
余談だが、青木が劇中で運転していたMGのTタイプは伊丹のもので、浅井が譲り受けて現在も元気に走っていることを、別のTV番組を観て知った。
伊丹は『北京の55日』(1963年・米)や『ロード・ジム』(1965年・英)という作品に一三という芸名で出演している。
小林一三(いちぞう)の名をとったという話が伝わっているが、その名を十三(じゅうぞう)に変更したのは一(マイナス)を十(プラス)に変える意味があったという。
そう言えば私が初めて買ったデジカメ(1999年ごろ)はスマートカードというメディアでしたが、あっという間に消えてしまいました。メディアが入れ替わると、昔のものが再生できず、本当に困ります。
返信削除『お葬式』が28年前の作品とは...道理で私も60歳になる訳だ。
本当に人生は短いです。あと何回、桜や紅葉を楽しめるのか、考えますね。なので余計に愛でる気持ちになります。
hiraken