2017/08/29

腹立半分日記by筒井康隆-->


今さらながら『腹立半分日記』を読む。
白状すると、筒井康隆作品は今まで、まったく読んでいない。
高校生のころ、同級生が筒井作品にはまって、ええでええでと騒いでいた。
こっちは五木寛之や畑正憲(ムツゴロウ)のエッセイを好んで読んでいた。



装幀:山藤章二



ほぼ40年前の本だが、古いがゆえの再発見・再確認ができて、面白い。
レトロスペクティヴというやつである。

本体というべき「腹立半分日記」は、著者が雑誌『面白半分』の編集長を務めていた期間、同誌に連載されたものをまとめたものである。
そこに、サラリーマン時代(乃村工藝社)やSF作家としてデヴィウする頃、その他の日記を加えて一冊の本にしてある。

「SF幼年期の中ごろ」と題された日記群は、昭和39(1964)年11月18日から始まる。
奇しくも、小生9歳の誕生日である。
著者はこのころ、千里山にある両親の家にいたと書いている。
その千里山に、当時小生も住んでいたのである。
もっと言えば、小生が通った小学校に、筒井少年もかつて通っていたのである。

また、筒井の作品を、ラジオで酒井哲が熱演、という記述が出てくる。
酒井は俳優でナレーター。
うちの家族と同じ団地(小学校に隣接している)に住んでいた。
息子の充(みつる)とは同級の友だちだったので、親父さんとも何度も顔を合わせている。
知った土地、知った名前が出てきて懐かしい。
もっぺん書くけど、レトロスペクティヴというやつである。

筒井家は、男ばかりの四人兄弟。
上から順に、康隆、正隆、俊隆、之隆という名で、これを間違わずに入力できたのは「や・ま・と・ゆ」と語呂合わせをしておいたからである(笑)
四男の之隆氏とも、少ないながら出会いがあった。
彼は読売新聞大阪本社の広告局に勤務していた時期があって、そこから仕事をもらっていた印刷会社の担当営業マンが、小生だった。

それはともかく。
本人は、
「いやなことや腹立ちや自己嫌悪や何やかやを吐き出すため、しかたなく(後略)」
と書いているのだが、作家が、人に読ませるために書く日記だから、面白くないわけがない。
偏固ジャーナルとはわけが違う。
最後に、小生が最も面白く読ませてもらった1976年のある日の記述を引いて終わる。

11月27日(土)
黒田先生に健康診断してもらった結果は、中性脂肪が287とのこと。普通は160ぐらいでなきゃいかんらしい。コーヒーと酒はやめろと言われてしまった。飯を食い過ぎてもいかん。血圧も高いからタバコをやめろ。ではいったい、何を楽しみに生きたらいいのだと、家へ帰ってからわめき散らしていると、妻が言った。「わたしがいるじゃないの」
 


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