2017/06/09

後妻業から疫病神へ-->



カヴァ絵は妻の黒川雅子作



ふだんあまり国内作品を読まないのだが、以前からマークしていた作品がある。
・黒川博行『後妻業』
・横山秀夫『64(ロクヨン)』
の二つである。
翻訳もの一辺倒になる前には、黒川博行も横山秀夫も何作かを読んでいる。

入院するときに持っていく本として『64』の購入を検討したことがあったが、買わずじまいだった。
自宅の棚から何冊か選んでいったのだが、実際は本が読めるような身体状況ではなかった。

それからしばらく経って。
『後妻業』の文庫が書店の平台にぎょうさん積まれているのを見かけた。
大竹しのぶ主演で映画化されたのである(『後妻業の女』2016年)。
その文庫をさっそく買うでもなく、後日図書館で、単行本の方を借りた。
これがなかなか、よかったのである。

『後妻業の女』の後になるが『破門 ふたりのヤクビョーガミ』(2017年)は、黒川の直木賞受賞作『破門』が原作である。
こうなると『破門』も読みたくなってくるではないか。
と思いつつも、後回しにする。
建設コンサルタントの二宮と極道の桑原の凸凹コンビの活躍するシリーズの、『破門』は第五作なのである。
ならばまず第一作を読め、というのがわがポリシーである。

ちゅうわけで『疫病神』を読む。
1997年に新潮社刊、3年後に新潮文庫化。
それが今は角川文庫に移籍しているのを書店で見つけて、買った。
20年前の作品だが、色あせておらず、かなり面白い。
ノワールというより、小林信彦『唐獅子株式会社』を連想させる。
黒川は『破門』で、やっとこさと言っていいぐらい待って直木賞を受賞したのだが、『疫病神』で受賞できていてもよかったのではないか。

『疫病神』発表から十数年経ったころ……
直木賞の選考委員会は作家で構成されているので、黒川のシンパ委員が「そろそろ黒ちゃんにやったらどうですか」みたいなことを言うたんとちゃうかいな、とゲスの勘ぐりをするのである。

 

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