2017/03/31

ジェイ・ルービンと村上春樹-->


ジェイ・ルービンは知る人ぞ知る、アメリカ人の日文研究者にして村上春樹作品の翻訳者である。
2016年11月の時点で、ハーヴァード大学の名誉教授である。

彼の『村上春樹と私 日本の文学と文化に心を奪われた理由』と題するエッセイ(東洋経済新報社刊)を読んだ。
日本語で書かれたその文章は、まるでネイティヴのようだった。

『村上春樹と…』はルービンの個人的なエッセイで、村上のことを語るよりも、いく分は自分よりのことを多く書いている。
が、アメリカ人の目を通しての日本を、当人の日本語で読むという体験が、面白い。

村上以外の日本人作家の名も多く出てくるのだが、いずれも同時代人ではなく、夏目漱石や芥川龍之介など、前時代の作家のものである。
ルービンが、ある出版社の依頼を受けて、芥川の英訳短編集を編むというエピソードが紹介されている。
その短編集の序文を、村上春樹が担当することになる。
村上はその序文の中で、芥川は日本の国民的作家の一人であると書き、さらに九人(つまり合計十人)を選ぶとしたら……と続ける。

結局、村上は十人目を思いつけずに終わるのだが、彼が「私見で」選んだ九人の国民的作家とは、
・夏目漱石
・森鷗外
・島崎藤村
・志賀直哉
・芥川龍之介
・谷崎潤一郎
・川端康成
・太宰治
・三島由紀夫
である。

うーん、そうくるか。
誰か抜かしている気がせんでもないが、まあ個人的な好みによるところもあるしなあ。
永井荷風はぜったい入れておくべきとちゃうかと思っているわけである。

 

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