ほんとうは『本の雑誌』への投稿用に書いたものだけれど、規定文字数におさめられなかったので、こちらに掲載。
ウェブログ用に改行を増やした。
その「おすすめの一冊」とは、
『ポール・マッカートニー 告白』
ポール・デュ・ノイヤー、奥田祐士訳/DU BOOKS
といっても、おすすめする対象は、マーケティング用語でいうならば非常に小さなセグメントである。
おおむね60歳以上のビートルズファンで、かつポールが一番好きという偏固な人だけだ。
当然だけれど自分がそれに該当する。
ファンのはずなのに知らないことが多すぎるのは、相手が外国にいる人だからだろうか。
著者はマッカートニーを縮めてマッカと呼んでいるのだが、そんなの初めて聞いた。
名前が同じポールだから、あえてそう呼ぶのか。
他にもっとましなショットあったやろうに…… |
著者のポール・デュ・ノイヤーは1954年リヴァプール生まれ。
音楽雑誌の記者として、マッカと何度もインタビューし、取材し続けたものを「リミックス」したのが本書である。
原題が「Conversations with McCartney」なので「告白」よりは「対話」といった方がふさわしい。
構成が複雑である。
著者の文章の中にカギ括弧でマッカの言葉が挿入されているかと思えば、括弧なしで過去のインタビューが続く。
リミックスされているので、インタビューの時系列は前後していることがある。
もちろん、空行を設けたりインデントするなどの配慮はあるが、それでも幻惑させられる。
読み始めたころ、文字に濃淡の差のあるのが気になった。
頁によって印刷インクの盛りが多かったり少なかったりしているような感じである。
よく見ると、マッカの発言部分はフォントのウェイトが大きく(=太く)してあったのだが、地の文と比べてL(Light)とR(Regular)ぐらいの僅差なので見分けがつきにくい。
M(Medium)で差をつけるか、別書体にした方が読みやすい。
この本の中には何百という曲名が登場するが、その大部分のレコードが個人コンピュータおよび携帯プレイヤーに入っている。
読みながら曲を検索し、聴きながらまた読む、という非常に楽しい経験をした。
これがもし電書なら、曲名部分をタップして音を出すということは可能なのだろうか。
おすすめのはずなのに、褒め言葉を書かずに終わるとは何たるちゃ。
ポールファンはぜひとも読んでください。
(武田伴兵衛・Nowhere Man 59歳プラス1・豊中市)
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