2020/08/18

新訳に何の意味がある?


このことはどこかに書いたことがあるが、昔、携帯電話(iモード)向けに「偏固通信」というミニブログを書いていたことがある。

主に、日日の暮らしの中で腹立たしく思ったことなどを書いていたのだが、ある時それを読み返してみて、我ながら不愉快になって、やめてしまった。

後になって、楽しみにしてくれていた奇特な人がいたことがわかったけれども、もう遅い。


その後、ブログ[web-log] に乗り換えて今日に至るというわけだが、Bloggerを選んだのは、ここなら悪口雑言を書いても、あまり目立つまいという気がしたからである。


さて、本日のお題は「新訳」である。

すでに誰かが翻訳した海外の作品を、また訳しなおすということである。

訳文の日本語が古くなったので、現代に即したスタイルに仕立て直して売ろう、というのが出版者[社]の思惑だと思っていた。


この夏、東京創元社がアーサー・コナン・ドイルの『失われた世界』の新訳版を出す、という情報を得て喜んだ。

少年の頃に面白く読んだのだが、今また新訳で読めるとは幸いである。

悪い癖?で、書店の店頭で試し読みすることなく、レジに持って行って買った。











訳文が、古臭かった。
しかも、わざと、そうしてある。
100年と少し前に「ストランド」という雑誌(シャーロック・ホームズ譚も掲載された)に発表したときに使用した挿絵を入れ、当時の雰囲気に近づけようという意図である。

わざわざ新しい訳者を立てずとも、自社文庫にすでにある龍口直太郎訳版に、ストランドの挿絵を追加するだけでよかったはずである。

『失われた世界』(原題:The Lost World)は、夏休みに読むのにふさわしい、読後感の爽やかな冒険小説である。

ちなみに、マイクル・クライトンの『ロスト・ワールド -ジュラシック・パーク2-』は、本作へのオマージュである。

 


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