2020/09/21

墓参から難波・新歌舞伎座


五月の黄金週間に対して、白銀週間と言おうか。

敬老の日と秋分の日と日曜日が、まとめてやって来た。

こちらは365日休みの状態だから、関係ないが。


パンデミック下、外出は控えたいのだが、秋の彼岸とあって墓参はしたいのである。

春秋の彼岸と盂蘭盆、新年は墓参りをする、と従姉に話したら、真面目ねと言われたことがある。

真面目不真面目の問題ではないだろう。


今年秋の彼岸は、9月19日から25日である。

いつ墓参りするか?

四連休を避けて、23日に行くのが望ましいが、その日に別の用事ができてしまった。 

24、25日でもまったくOKなのだが、早く済ませるにこしたことはない。

そう考えて、19日の土曜日に、少々のリスクを冒して出かけた。


寺町まで地下鉄に乗って行く。

最近、大阪メトロという名になったのだが、誰かがそう呼ぶ声を聞いたことがない。

墓所で水を打って、掃除をして、香華を手向けて、頭を垂れる。

持参の数珠は祖父が使っていた、珠の一つひとつに羅漢が彫られたものである。

ある時、珠が一つ割れてしまい、その珠を取り除いて、房と紐を短かいものに取り替えてもらった。

珠の数が減ってもかまわないそうである。




我が家の墓は数が多いので、世話するのも時間がかかる。


大阪メトロに乗って、帰る。

「なんば」で乗り換えるところ、途中下車して千日前道具屋筋に買い物に行った。

人出が、けっこうある。

長居は無用だが、時間をとって丼鉢を探す。

気に入っていた鉢を割ってしまったので、その替わりである。


波書房と天地書房にも入店。

遠慮しいしい見て回るが、獲物なし。



髙島屋百貨店の軒下から、丸井とエディオン








丸井の向こう側に見える新歌舞伎座




あちらこちら、うろうろするのは衛生的によくないので、徘徊を切り上げて、帰る。

御堂筋の南端に位置する「新歌舞伎座」の古風な建物が、シンプルだがモダンな建物に押さえつけられているように見える。

今から40年近く前に、新歌舞伎座から印刷の仕事をいただいていた。
舞台公演に関連する印刷物の製作である。
沖雅也公演の際には、とんでもない事件が起こった。

新歌舞伎座のN課長から、電話があった。
「武田くん、お昼のニュース見たか」
「……?」
「沖雅也が死によったんや!」

公演の開幕まで、あと何日もなかった。
用意できていた印刷物は、すべて沖座長の道連れにされてしまったのである。

代替公演が決まり、印刷の現場が大車輪で作業をしてくれたお蔭で、刷り直しの印刷物の納品は、開幕に間に合わせることができた。

あの事件のときの沖雅也が遺したといわれる台詞を、今でも憶えている。

「おやじ、涅槃で待っている」

こんな台詞、自分でも誰かに言ってみたい。


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