一人のデザイナーがこの世を去った。
本名の田澤友紀(ともき)でなく「ヘンリー」と呼ばれていた。
自分でもそう名乗っていた。
家でも嫁さんにそう呼ばれていた。
「Henry」か「Heng Lee」だったか、由来は定かでない。
共通の知り合いが「お久しぶりです」という暢気なタイトルのメイルで、ヘンリーが亡くなったことを知らせてきた。
あほか。
開けて愕然、である。
ヘンリーには何年も会っていなかった。
いつでも会えると安心していたところもあった。
癌に罹っていたことも知らなかった。
亡骸を見るまでは彼の死を信じる気になれない。
長居のプロテスタントの教会で、棺に横たわったヘンリーの顔は、ちょっと笑ってた。
昔とった杵柄(ミッション系の幼稚園)で、他の参列者と一緒に讃美歌を歌った。
しかし、牧師が説教する、神の思し召しとか甦りとか、その他諸々のご都合のいい言葉を聞いているうちに、悲しみではなく怒りの気持ちが湧いてきた。
葬送式の後、長居公園を歩く。
ちょうどこの日キンチョウスタジアムでは、関西学院大学対プリンストン大学のフットボールの試合が行われていた。
関西学院ファイターズに神は味方せず、大差で負けた。
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