2019/09/11

キャッシュレス決済


意外にも、決済のキャッシュレス化は進んでいないらしい。
物を買って代金を支払うのに、現金を使う人が、まだまだ多いということである。
意外にも、と書いたのには理由があって、個人的にキャッシュレス決済を応援しだしてから20年以上が経ち、かなり大きな割合で浸透していると思い込んでいたからである。

1989年4月に消費税が初めて導入された。
その当時の税率は3%で、店での支払い時に、まず金額を計算するのが大変で、次に1円単位の小銭を財布の中から選り出す作業が億劫であったことを、思い出す人も多いだろう。
金額の計算はレジスター任せにできたとしても、小銭との「格闘」は、払う側とお釣りを返す側で頻繁に起こっていたのである。
キャッシュレス決済は、この格闘から我々を解放する妙手だと思っていた。

3%の暗算に慣れきった1997年4月、消費税率は5%に引き上げられた。
税額の暗算は、かなり楽になったが、1円単位の支払いがなくなったわけではなかった。
同年10月、神戸市で行なわれた「VISA Cash(ヴィザキャッシュ)」の利用実験に参加した。





(ヴィザキャッシュというネーミングは「電子マネー」を標榜していると思われる)
VISA Cashが使えるICカード(接触型、後述)を3万枚発行し、11月末までに総利用金額1千8百万円を記録した。
非常にスムーズに買い物(決済)ができて、利便性が実証されたと確信した。
知人・友人・家族にも「これええで!」と吹聴した。
……しかし、確信したのは己ばかりなり、その後国内市場への導入は見送られた。

ちなみに、VISA Cashには「Reloadable」と「Disposable」の2種類があり、前者は銀行口座から一定金額を補充できるタイプ、後者は使い捨てのプリペイド式であった。



イヴェントに協賛して普及を図る





同時期に、プリペイド式の電子マネー「BitCash(ビットキャッシュ)」も出現、現在も流通しているようである……


1000クレジット=1000円に相当



それから7年経って、関西では「PiTaPa」が登場する。
非接触型のICカードを利用し、カードと読み取り専用端末(リーダ)間で短距離の通信が行なわれる仕組みである。
PiTaPaカードを入れたままの財布を、鉄道の改札口に設置された端末に「ピタッと」タッチすると、乗降のデータが「パッと」記録され、1か月分まとめて指定口座から引き落とされる「ポストペイ」式である。
鉄道だけでなく、リーダを設置した店舗や自動販売機で使えるようになって、普及した。

非接触型という文言は誤解されるが、ICカードをリーダに挿入する式が「接触型」であるのに対して、挿入不要という意味で「非接触型」と呼ぶようである。
すなわち、読み取り端末にタッチする必要があるにもかかわらず、非接触型と呼ぶので誤解される。
非接触型には通信距離の長短によって密着型(距離2mmまで)近接型(同10cmまで)近傍型(70cmまで)遠隔型(70cm以上)の4タイプがある。

現金を持ち歩かない(そもそもお金がない)自分には、PiTaPaで買い物ができて便利であった。
加えて、スーパーマーケットでもコンビニエンスストアでもクレジットカードが使えるようになり、世間的にもキャッシュレス決済へのハードルが下がったものと思っていたのである。
 

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