『マンハッタン・ビーチ』(Manhattan Beach by Jennifer Egan:ジェニファー・イーガン、中谷友紀子訳/早川書房)
に対する書評の多くが、手放しの好評価であることを知り、慌てて書いておく。
自分は、ストーリー上の誤謬が気になった。
ネタばれにならないよう、極力ぼかして書く。
1)D男が、主人公の女性の住まいを訪れた際、以前にも訪れたことがあるのを思い出さない。
もう少し詳しく書くと、訳文上は(以前に)主人公の住まいと家族の特殊事情を目にしたことが書かれている[p.412]。
住まいの場所を失念したとしても、特殊事情の方を思い出しそうなものだ。
2)二つ目は、小さな疑問。
主人公の父親の懐中時計の所在……いつまで身につけていたのか?
これに関しては、いかようにも言い繕うことができそうなので、誤謬とまでは言えない。
3)最後の点も、誤謬とまでは言えない。
甚だしい、ご都合主義である。
文字通り絶体絶命の窮地(両手両足を縛られて)からの脱出が簡単すぎて、納得がいかない。
というわけで、星五つが満点とすれば『マンハッタン・ビーチ』は★★★☆☆(星三つ)です。
1)の減点が大きい。
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